キナバル(4095m)

   3月3日、1時前に起床してトイレを済ます。 寝不足だが体調は悪くない。 2時から始まる軽食を食べ、売店でテルモスに入れるお湯を買い(1.5リンギット)、予定どおり2時半にレストランに現れたライナスと2時40分にラバン・ラタ・レストハウスを出発。 他の人達はもう少し遅く3時頃に出発するようだった。 歩き始めは風もなく予想よりも暖かかった。

   登山道は最初から急な階段上の登りで、深呼吸をしながらゆっくり登っていくと、予想どおり頭痛がなくなってきた。 階段の脇には転落防止の太いロープが張られていたので、それを掴みながら登ると楽だった。 山小屋から45分ほどで8畳ほどの広さの『展望デッキ』に着いて一息入れる。 上方には他の山小屋に泊まっていた人達のヘッドランプの灯が沢山見られ、さながら盛夏の富士登山のようだ。 天気は良さそうで麓の町の夜景が見えた。 展望デッキからは切り立った岩場に取り付けられた新しい階段の道となり、傾斜が緩んだ所からルートの目印を兼ねた太いロープが張られたスラブ状の岩盤を登る。 やや強い風が吹いてきたのでジャケットを着る。 4時に中間点のサヤサヤのチェックポイント(3668m)に着き、IDカードをスタッフに見せる。 チェックポイントにはトイレもあり、しばらくここで休憩する。

   チェックポイントから先も太いロープが張られたスラブ状の岩盤の登りが続いたが、ロープを掴んで登るのはほんの僅かな区間で、傾斜は上に行くほど緩やかになった。 山頂に到着する時間も読めてきたので、ペースを意識的に遅くして登る。 標高3929m(登山ゲートからの距離8キロ)と記された看板を過ぎると風が一層強くなってきたので、さらにダウンジャケットを着込む。 山頂手前からはご来光への時間調整をしているのか高度障害なのか分からないが、ルート上で休んでいる人達が多く見られた。 間もなく燃えるような朝焼けが見られ、ご来光が期待出来た。 山頂直下は簡単な岩場となり多少渋滞していたが、予定どおり山小屋からほぼ3時間で待望のキナバルの山頂(ロウズ・ピーク/4095m)に着いた。 まだ暗いので山頂からの展望が得られないのが玉にキズだ。


2時から始まる軽食


2時40分にラバン・ラタ・レストハウスを出発する


登山道は最初から急な階段上の登りとなるく


8畳ほどの広さの『展望デッキ』


展望デッキからは切り立った岩場に取り付けられた新しい階段の道を登る


傾斜が緩んだ所からルートの目印を兼ねた太いロープが張られたスラブ状の岩盤を登る


中間点のサヤサヤのチェックポイント(3668m)


チェックポイントから先も太いロープが張られたスラブ状の岩盤の登りが続いた


風が一層強くなってきたのでダウンジャケットを着込む


山頂直下の岩場


燃えるような朝焼け


キナバルの山頂(ロウズ・ピーク)


   山頂は猫の額ほどのスペースしかなく、記念写真を撮るための順番待ちとなっていたが、ガイド達が山頂での撮影時間を1人1分程度で済ませるようコントロールしていたので混乱はなかった。 山頂での記念写真を撮り終えると、少し下った所でご来光を待つようにライナスから指示があった。 風の収まった山頂直下で30分ほどワクワクしながら待ち続けると、幾つかあるキナバルの岩峰のピークの一つであるキング・ジョージ・ピーク(4060m)付近から素晴らしいご来光が見られた。 ご来光直後の山頂は空いていたので、再度山頂に立って反対方向の景色を眺めて写真を撮った。


山頂から見たセント・ジョンズ・ピーク(4090m)


ご来光を待つ登山者で賑わうキナバルの山頂


山頂でのご来光


山頂から見たビクトリア・ピーク(4090m)


   6時半に山小屋に向けて下り始める。 登りでは見えなかった特徴のあるサウス・ピーク(3921m)や、4年前の地震で岩塔の片方が崩壊してしまったドンキー・イヤーズ・ピーク(4054m)などが見え、登ったルートの状況も良く分った。 写真を何枚も撮りながら下ったが、予想よりも早く1時間半ほどでラバン・ラタ・レストハウスに着いた。 今日登った日本人は私達二人だけのようだった。 明日のスケジュールについては昨日の打ち合わせどおり17時に決定することをライナスに伝え、レストランで祝杯を上げて遅い朝食を食べた。 予想どおり山頂を往復したことで順応が進み、煩わしい頭痛は全く無くなった。


山頂からサヤサヤのチェックポイントへ


最高峰のロウズ・ピーク(4095m)


山頂からサヤサヤのチェックポイントへ(右が南峰)


セントジョンズ・ピーク(4090m)


サウス・ピーク(3921m)


山頂からサヤサヤのチェックポイントへ


ドンキー・イヤーズ・ピーク(4054m)


サヤサヤのチェックポイント


サヤサヤのチェックポイントからラバン・ラタ・レストハウスへ


展望デッキから見た登山道


南峰直下のパナール・ラバンの大岩壁


ラバン・ラタ・レストハウス


レストランで祝杯を上げる


   ラバン・ラタ・レストハウスに連泊するのは私達だけのようで、昼前になるとレストランに人影はなくなり、スタッフによるベッドメイキングが始まった。 昼食はバイキングではなく、ワンドリンク付きのランチメニューだったが、選択出来るメニューはどれも軽食という感じだった。 午後に入ると三々五々登山者が到着したが、その中に4人の日本人の大学生のグループの姿が見られた。 柴田さんと明日のスケジュールについて協議した結果、天気と体調が良ければ、せっかくなので再度山頂に登ろうということになり、早々に昼寝を決め込んだ。

   17時にライナスがレストランに現れたので、明日も再度山頂に登ることを告げると、ライナスは特に驚くような素振りは見せず、登頂のスケジュールは今日と全く同じで、山小屋から登山ゲートへの下山は9時にしますということを淡々と説明した。 今日の同室者はカナダからの若い男女のカップルだった。 夕食のバイキングの内容は、昨日と半分ほどメニューが変わっていたので嬉しかった。 夜は頭痛がなくなったので短時間ながら熟睡出来た。


ワンドリンク付きのランチメニュー


レストランから見た雲海


夕食のバイキング


   3月4日、昨日と全く同じように1時前に起床してトイレを済ます。 今日も予報どおりの良い天気だ。 疲労感はややあるが柴田さん共々体調は良いので、レストランで軽食を食べてから予定どおり2時半にレストランに現れたライナスと共に山頂に向かう。 昨日と同じように暖かいが、予想に反して風が少し吹いていた。 展望デッキまでの階段は団体のパーティーで少し渋滞していたが、展望デッキから先は昨日のように沢山のヘッドランプの灯が見られなかった。 順応が疲労をやや上回っているようで、登るペースは昨日よりも僅かに速い。 ルートの記憶は鮮明で、暗くても手に取るように分かる。 昨日とは逆に風は次第に収まってきた。 ペースが遅いグループをいくつか追い越し、中間点のサヤサヤのチェックポイントには4時前に着いた。

   チェックポイントを過ぎてからしばらくすると、いつの間にか私達が先頭を歩くようになり、昨日よりもだいぶ早く山頂に着くことが想定された。 満天の星空には天の川も見られ、振り返るとヘッドランプの灯が山小屋から切れ目なく続いている。 麓の町の夜景も昨日以上に良く見え、今日も登頂はもちろんのこと、素晴らしいご来光が期待出来た。 このままのペースで登り続けると、山頂でご来光を待つ時間が長くなってしまうが、山頂に一番乗りするのも一興なので、時間調整することなく登り続けた。 5時20分、山小屋から2時間40分で誰もいない静かなキナバルの山頂に着いた。 昨日に続いての2度目の登頂なので感動はやや薄いが、山頂での喧噪がないのが嬉しい。 柴田さんと山頂の狭い岩の上に立ち、ライナスに記念写真を撮ってもらい、直後に登ってきた人に三人の記念写真を撮ってもらう。 間もなく荘厳な朝焼けが始まったが、ご来光まではダウンジャケットを着込んで1時間近く待たなければならなかった。 次々と山頂に到着する人達の中に4人の日本人の大学生グループの姿も見られた。


軽食のバイキング


2時40分にラバン・ラタ・レストハウスを出発する


展望デッキまでの階段は団体のパーティーで少し渋滞していた


展望デッキから先は昨日のように沢山のヘッドランプの灯が見られなかった


麓の町の夜景と後続者のヘッドランプの灯


中間点のサヤサヤのチェックポイント(3668m)


チェックポイントから山頂へ


標高3929m(登山ゲートからの距離8キロ)と記された看板


私達が先頭を歩くようになる


山頂直下の岩場


キナバルの山頂(ロウズ・ピーク)


キナバルの山頂(ロウズ・ピーク)


荘厳な朝焼け


   昨日とほぼ同じ時間に同じ位置からのご来光を拝み、もう何も思い残すことなく山小屋に向けて足早に下る。 下りのペースも昨日より早く、山頂から僅か1時間15分でラバン・ラタ・レストハウスに着いた。 レストランで遅い朝食を食べ、荷物を整理してライナスとの取り決めどおり9時にラバン・ラタ・レストハウスを発つ。 好天続きで売店のコーラやミネラルウォーターがなくなり、美味しくないお湯を買うハメになってしまった。 目標を失った身には単調で変化に乏しい下りは堪える。 退屈しのぎに柴田さんがすれ違う登山者の人数を数えながら下ると100人を少し超え、うち日本人は女性を中心に7〜8人だった。 登山ゲートに近づくにつれて雲が湧き始め、キナバルの山頂方面は全く見えなくなったが、むしろ涼しくてありがたかった。 正午前にチェックポイントのある登山ゲートに着き、その先の車止めでライナスに相応のチップを手渡した。


山頂でのご来光


山頂からサヤサヤのチェックポイントへ


山頂からサヤサヤのチェックポイントへ


サヤサヤのチェックポイントからラバン・ラタ・レストハウスへ


7時40分にラバン・ラタ・レストハウスに着く


ラバン・ラタ・レストハウスのレストラン


朝食のバイキング


9時にラバン・ラタ・レストハウスを発つ


ラバン・ラタ・レストハウスから登山ゲートへ


ラバン・ラタ・レストハウスから登山ゲートへ


正午前にチェックポイントのある登山ゲートに着く


登山ゲートの先の車止め


   園内の専用車に乗ってP.H.Qの管理事務所に行くと、事務所のスタッフから登頂証明書を2枚授与された。 昼食は管理事務所の近くの指定されたレストランで食べたが、昨日と同じようにバイキングではなく、ワンドリンク付きのランチメニューだった。 エージェントの送迎車は15時に来ることになっていたのでゆっくり寛いでいると、事務所のスタッフから臨時の送迎車が来たと伝えられ、図らずも1時間ほど早くコタ・キナバルのホテルに帰り着くことが出来た。 シャワーを浴びて一休みしてから、先日行った日本食のレストランの『錦』でディナーメニューの和定食を食べた。


P.H.Qの管理事務所


2枚の登頂証明書


管理事務所の近くのレストラン


レストランの店内


日本食のレストランの『錦』


ディナーメニューの和定食


想い出の山    ・    山 日 記    ・    T O P